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新型コロナウイルス関連肺炎論文

2019年12月、中国の湖北省武漢で、新型コロナウイルス感染肺炎(NCIP)の集団感染が発生ています。中国の研究者から少しづつ新型肺炎に関する論文が発表されているが、どのような患者が重症になるかは明らかになっていない状態である。

この論文は2020年1月1日から1月28日まで、中国武漢にある武漢大学中南病院で138人のNCIP入院患者の臨床的特徴を説明し、集中治療室(ICU)ケアを受けた重症患者とICUケアを受けていない重症患者を比較。電子カルテの記録などにより後ろ向きの研究を行い報告しています。

本邦ではコロナウイルス陽性でも症状が出ない方、風邪症状のみで治癒する患者も多くいます。

この論文ではあくまでコロナウイルスに感染して肺炎が起きている 新型コロナウイルス感染肺炎(NCIP) 患者の統計であるため、死亡率が4.3%と高いのかもしれません。

注目すべきは高率な院内感染です。外科病棟に入院の腹痛を訴えていた患者から、外科病棟で勤務していた10人を超える医療従事者が感染したとみなされています。このことより咳などによる飛沫感染だけでなく、腹部症状を訴えた患者からの感染に注意することが必要なことが示唆されました。

どのように感染したかはこの論文では記載されてありません。通常はスタッフの教育も行き届いているはずの教育機関病院での院内感染はおこることが少ないと思われます。

感染防御服などの不足も関係しているかもしれません。 感染患者便にもコロナウイルスが存在するとの報告もあります。

いずれにせよ腹部症状を呈した患者の排泄物などの処理には特に注意が必要だと思われます。また高齢で基礎疾患のある方は重症化するリスクが高いので注意が必要です。

現時点では新型コロナウイルスは抗生剤、ステロイド療法などの効果は期待できず、基本対症療法、呼吸不全になった場合には酸素療法や人工呼吸器管理するというのが実状です。

最近では既存の患者血清、抗マラリア薬、エイズ治療薬が効果を示したとの報告もあり、本邦ではエイズ治療薬治験に乗り出す政府の方針が発表されています。

この論文は患者の特徴など貴重な情報がまとめられており有用な論文と考え掲載させていただきました。

「中国武漢にある2019年の新型コロナウイルス感染肺炎の入院患者138人の臨床的特徴」
2020年2月7日 中国人研究者Dawei Wangらの論文が米国医師会雑誌JAMAにオンラインで公開されています
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2761044

これより下は論文を翻訳・引用しています。

「中国武漢にある2019年の新型コロナウイルス感染肺炎の入院患者138人の臨床的特徴」

Key Points
NCIP患者138人が関与するこの中国武漢大学中南病院では、26%の患者が集中治療室への入院を必要とし、4.3%が死亡した。2019-nCoVの院内感染は、患者の41%で疑われました。

結果
NCIPの入院患者138人のうち、年齢の中央値は56歳(範囲、22〜92歳)で、75人(54.3%)は男性でした。

症状
発熱(98.6%)、疲労感(69.6%)、乾性咳嗽(59.4%)筋肉痛(34.8%)、および呼吸困難(31.2%)。

その他の症状は、頭痛、めまい、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐でした。合計14人の患者(10.1%)は、発熱と呼吸困難の発生の1〜2日前に最初に下痢と吐き気を呈しました。

臨床検査
リンパ球減少症(リンパ球数、800個/μL 四分位範囲600~1100)(70.3%)
プロトロンビン時間の延長(13.0秒 12.3-13.7)(58%)
LDHの上昇( 261 U / L 182-403])39.9%

画像検査
胸部CT:すべての患者の肺に両側の斑状影またはすりガラス状陰影

治療
抗ウイルス療法(オセルタミビル[89.9%])
抗菌療法(モキシフロキサシン[64.4%]、セフトリアキソン[24.6%]、アジスロマイシン[18.1%])
ステロイド療法(45%)                               
オセルタミビルとメチルプレドニゾロンの投与量は疾患の重症度により異なりますが、明らかな効果は観察されませんでした。

集中治療室(ICU)搬入は(36人[26.1%])
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)(22人 [61.1%])
不整脈(16人 [44.4%])
ショック(11人 [30.6%])

最初の症状から呼吸困難までの時間の中央値は5.0日、病院への入院は7.0日、ARDSは8.0日。

ICUの36症例の治療内容
高流量酸素療法 4人(11.1%)
非侵襲的補助換気 15人(41.7%)
侵襲的換気 17人(47.2%)

経過:2月3日現在、47人の患者(34.1%)が退院し、6人が死亡(全体の死亡率、4.3%)、残りの患者はまだ入院中。退院した患者(n = 47)のうち、入院期間の中央値は10日間でした(7.0-14.0)。

ICUで治療された患者(n = 36)とICUで治療されなかった患者(n = 102)の比較


年齢が高い(年齢の中央値、66歳vs51歳)
併存疾患を有する可能性が高い(26 [72.2% ] vs 38 [37.3%])
呼吸困難(23 [63.9%] vs 20 [19.6%])
食欲不振(24 [66.7%] vs 31 [30.4%])
高血圧(21 [58.3%] vs 22 [21.6%])
糖尿病(8 [22.2%] vs 6 [5.9%])
心血管疾患(9 [25.0%] vs 11 [10.8%])
脳血管疾患(6 [16.7%] vs 1 [1.0%])

非ICU患者と比較して、ICUに入院した患者は咽頭痛、呼吸困難、めまい、腹痛、食欲不振などの症状が多かった。生化学検査では、白血球数や好中球数、Dダイマー、クレアチンキナーゼ、クレアチニンなどで、ICU患者が高い。

ほとんどの患者でリンパ球減少が見られたが、生存者に比べ非生存者の方が減少が顕著であった。白血球数と好中球数は非生存者の方が増加し、Dダイマーは非生存者の方が高かった。

疾患が進行して臨床状態が悪化すると、死亡前に血中尿素およびクレアチニンのレベルが徐々に増加しました。

考察:この研究に含まれる138人の患者のうち、26%がICUのケアを必要とし、34.1%が退院し、6人が死亡(4.3%)、61.6%が入院したままです。退院した人(n = 47)の入院期間は10日間でした(7.0-14.0)。

発症から呼吸困難までの時間は5日、入院まで7日、ARDSまで8日でした。病気の発症時の一般的な症状は、発熱、空咳、筋肉痛、疲労、呼吸困難、食欲不振でした。

ただし、かなりの割合の患者が、最初は下痢や吐き気などの非定型症状を示しました。入院中の主な合併症には、ARDS、不整脈、ショックが含まれます。

斑状陰影とすりガラス陰影の両側性分布は、NCIPのCTスキャンの典型的な特徴でした。最も重篤な病気の患者は高齢で、ICUに入院していない患者よりも多くの基礎疾患がありました。

ほとんどの患者は酸素療法を必要とし、少数の患者は侵襲的換気またはExtracorporeal membrane oxygenation(ECMO)さえ必要としました。

好中球増加はウイルスの侵入によって引き起こされるサイトカインストームに関連している可能性や、凝固活性化は持続的な炎症反応に関連している可能性、急性腎障害はウイルス、低酸素、ショックの直接的な影響に関連している可能性があります。

これら3つの病理学的メカニズムは、NCIP患者の死因に関連しているかもしれません。