脂質管理

2011-06-16

H23年6月15日に大牟田ガーデンホテルでの研究会「心疾患治療における脂質管理の将来展望」コレステロール吸収阻害薬の可能性という題名で熊本大学准教授、杉山正悟先生による講演会がありました。

講演の内容のまとめ

  • コレステロールは冠動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、心不全の原因となります。
  • 日本では、脳血管死亡が減少したが、心疾患による死亡は減少していない。
  • 冠疾患リスク患者では脂質異常改善薬(スタチン)は総死亡率を改善させる。(ジュピタースタディー)
  • 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を50mg/dl以下にすることは心疾患イベントを半分にした。
  • 17万人の心疾患患者に対しスタチンで治療した研究では、LDLを積極的に下げることが大事と判明した。
  • 日本人の心疾患イベントはスタチン治療で抑制できる(MEGA suudy)
  • 冠動脈疾患後、糖尿病の患者で他のリスク1-2個以上の患者に関し日本のガイドラインではまだ甘い基準であり、欧米のガイドラインではLDL-C 70mg/dl以下に低下させることが重要と考えられている。
  • コレステロール吸収が亢進している患者では、スタチンによるイベント抑制効果が低下する。スタチンを増量すると副作用が増加するため、このような患者にはコレステロール吸収阻害薬の併用が効果的である。
  • 患者や医師がLDL-Cの値が理想になっていない状態でも良しとしていることに原因があるのではないか?
  • 高コレステロール血症を治療することによりハイリスク患者の心血管イベントを抑制動脈硬化病変を退縮、減少させることができる。

 

NASH患者に対するエゼチミブの効果

  • 生検で肝組織が改善している。45名の検査でも同様の結果がしめされた。
  • 脂肪肝がある人はエゼチミブの効果が期待されている。
  • エゼチミブは臨床研究で糖代謝に効果がある可能性が示されている。(動物モデルでGLP1を増加させる、膵細胞の保護作用)

ゼチーアが有効な患者

糖尿病、脂質異常症、脂肪肝、心不全

 

診療メモ

ガイドラインの目標値までコレステロールを低下させている率は高くはない状態です。脂質異常症の改善には食事療法、運動療法などによるライフスタイル改善が重要であり、摂取カロリーを決めて、腹八分目、1日3食ほぼ均等にする、間食をしない、寝る前に食べない、野菜を多くとるなどの食生活の改善も重要です。これらのことを診療の機会に説明させていただいています。しかしながら生活習慣を改善してもガイドラインの推奨する目標値にならないことがあります。

薬剤を検討するとき「医師の判断」、「患者さんの考え」などにより、薬の投与量が決定されるが、現在では目標管理値に到達していない患者さんが多い状態です。

循環器疾患診療では至適薬物療法がきちんと行われているか?ということでありそのことが、患者さんのためになるということを改めて考えると、リスクのある患者さんに対してはきちんと目標値まで下げる治療が重要というこを改めて認識させられました。

ゼチーアの登場により、脂質管理が副作用すくなくできるようになり、診療する上での薬剤選択の幅が広くなっています。

 

エゼチニブ

小腸コレステロールトランスポータ阻害薬のエゼチミブ(商品名;ゼチーア)は小腸壁で食事性及び胆汁性コレステロールの吸収を選択的に阻害します。

詳細な作用は、小腸からのコレステロール吸収の約半分がコレステロールトランスポーターであるNPC1L1により吸収されますが、ゼチーアはこのNPC1L1を特異的に阻害することによってLDL-Cを中心とする脂質異常を改善させます。

効果はゼチーア(10mg)を1日1回食後服用することにより血中コレステロールを約20%低下させ、動脈硬化惹起性のレムナントコレステロールの低下作用もあります。

そして、コレステロール合成阻害剤であるHMG-COA還元酵素阻害剤(スタチン)と併用することにより、血中コレステロールを強く低下させ、二次予防患者やハイリスク患者の治療には、スタチンの投与量を増量するよりもゼチーアを併用する方がLDL-C改善効果は大きいと報告されている。

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