脂質異常症薬シンポジウム2011

2011-06-20

クリニックでの診察は生活習慣病の患者さんが多いがその中で「ガイドライン目標値まで悪玉コレステロールや、善玉コレステロールが改善している患者さんはどのくらいの率なのだろうか?」と、考えてしまう。最近脂質異常症の研究会が多く開催されているが、どの研究会においても「LDL-Cの低下が心血管系のイベント(心筋梗塞や脳梗塞など)を抑制する」というエビデンスが蓄積されてきており、特に善玉コレステロールと悪玉コレステロールの比が重要という報告も多くなってきている。

人間のコレステロールは他の哺乳類と比較しても4倍ほど高く、多くの器官が形成される新生児の血液のコレステロールが成人の1/4ということを考えても、成人の悪玉コレステロールが高いと良いことではないことが分かる。

特に他のリスクをもつ患者さんや糖尿病の患者さんにとっての脂質異常症は心血管イベントを起こす可能性が高くなるため、積極的に下げることが必要であると再認識させられた。「高血糖の記憶」というのは血糖が高い時期が一度ある程度の期間あれば、その後血糖コントロールを厳格に行っても血管合併症が起こってしまこと。このことがわかり、合併症を防止するには他のリスクも厳格にコントロールする必要があるということが示された。日常臨床の場で現在わかってきているエビデンスやその根拠などをわかりやすい形で患者さんに説明し、納得して生活習慣の改善、内服療法強化について検討していきたい。

 

激増する糖尿病合併高コレステロール血症患者へのアプローチ

(特徴的な脂質代謝異常にいかに切り込むか)

 
 

シンポジウムの抜粋

 
河森隆造先生 順天堂大学
  • 糖尿病の死亡率は悪性新生物の死亡率とかわらない。
  • 糖尿病患者は動脈硬化の起こるのが10-15年早い
  • 糖尿病患者でLDL-Cを下げれば顕著に心血管イベントを抑制するのが一番重要。70~120未満が目標
 
林登志雄先生 名古屋大学 (疫学研究)
  • 後期高齢者の死亡率は癌の1.6倍
  • 日本ではADL低下期間 約7年
  • 糖尿病に罹患されている患者は15年心筋梗塞を起こす年齢が若い。
  • HDL-Cが低いと動脈硬化性疾患の率が増加する。
  • 虚血性心疾患のリスクファクターで高齢者ではコレステロールと強い関連が見られた。
  • LH比が2を超えると虚血性心疾患の可能性が高くなる。
  • LDL-Cのガイドラインを欧米のものに変更した場合、4割心筋梗塞が減少する可能性がある。
  • LDL-C/HDL-C1.5以下にすると動脈硬化性疾患を半数以下にすることが出来る。
 
山岸昌一先生 久留米大学
  • 治療満足度をあげる薬剤とは?
  • 高血糖の記憶:過去にどのくらい高血糖にさらされていたかが血管合併症に関係している。
  • EDIC-DCCT:血管合併症が一度起こってしまうと、なかなか代謝されず血管組織に長く留まり、後から血糖コントロールを強化しても、高血糖の記憶がある限り合併症発症率が上昇してしまう。
  • クレストールはLDL-Cを下げる。
  • HDL-Cが低下したり、逆転送機能が低下すると動脈硬化疾患の率が増加する。
  • クレストールが逆転送を改善する。糖尿病患者の心血管イベントを抑制するためにはLDL-Cを厳格にコントロールする必要がある。
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