クローン病

2011-04-29

炎症性腸疾患は年々増加し、クローン病患者は現在3万人と推定されています。欧米化の食事、ファーストフードなど摂取増加により今後も益々増加すると考えられている。以前より厚生省難治性炎症性腸疾患研究班で治療指針が検討されており、2010年にクローン病ガイドラインが作成されました一部を紹介させていただきます。

推奨グレード

A:行うよう強く勧められる  高いレベルの根拠
B:行うよう勧められる  中等度レベルの根拠
C1行うほうがよい    低いレベルの根拠であるが臨床的には有用
C2行わないほうがよい 低いレベルの根拠であるが臨床的に有用でない。
D:行わないよう勧められる。 

クローン病の診断

10歳代後半~30歳代の慢性腹痛、下痢、体重減少、発熱、全身倦怠感、肛門病変などがある人

血液検査

白血球やCRP、赤沈が高く、低栄養状態(アルブミン、コレステロール低下) 貧血

画像検査

消化管に縦走傾向の潰瘍が多発していて他の疾患が否定的

治療

軽症~中等症
5ASA製剤(ペンタサ、サラゾピリン)、抗菌薬(大腸病変)、経腸栄養(小腸病変)、
中等症~重症
経口ステロイド、経腸栄養剤
重症~劇症
入院、完全静脈栄養、経静脈ステロイド、外科的治療も考慮

最近は抗TNF-α抗体(レミケード)、免疫抑制剤(イムラン)が行われるようになり、短期間で寛解導入や長期にわたる寛解維持が可能となってきている。
治療の原則は腸管の炎症を抑制し、症状改善、栄養状態改善、生活の質を向上させることです。
クローン病は進行性の疾患であり、今までのような、マイルドな治療から強い治療に徐々に移行していく治療(ステップアップ)より、強い抗炎症作用をもつ薬で治療を開始し早く寛解に持っていく治療(トップダウン)が多く行われるようになってきています。

クローン病定義

クローン病は慢性の肉芽腫性炎症性病変を主体とする原因不明の疾患である。 C1

疫学

クローン病の頻度、年齢層、海外と比較してどうか?
日本のクローン病患者数は年々増加し、現在では2万5千人以上と推測され、1.8:1.0程度の比率で男性に多い。 B
クローン病は比較的若年に発症し、10歳代後半から30歳前半に好発する。  B
欧米諸国のクローン病有病率・罹患率は日本より高く、女性に多い傾向がある。 C1

病因

クローン病の原因、遺伝、リスクは?
原因は解明されていない C1
食事内容とクローン病の因果関係が指摘されているが、いまだ決定的な見解は得られていない。 B
喫煙はクローン病のリスク因子である。 B
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や経口避妊薬はクローン病の増悪因子となりうる C1

病態・分類・活動度

適切な治療のために、クローン病の病変部位、疾患パターン、活動度を的確に把握する必要がある。 B

経過

クローン病の長期経過はどうなのか、癌になりやすいか、寿命は短くなるのか?
クローン病は再燃と寛解を繰り返しながら長期間持続する。 C1
クローン病患者の日常生活は障害されることが多い。 C1
クローン病患者の癌発生率は高い。 B
クローン病患者の生命予後は正常集団に比較しわずかに低下する。 C1

臨床症状

腹痛、下痢が最も多く、肛門病変による症状や血便もよくみられる。 C1
体重減少、発熱、全身倦怠感、食思不振などの全身症状や口腔内アフタなどの症状も高頻度にみられるが、特異性は高くない。 C1

合併症

腸管合併症としては、狭窄、瘻孔(内瘻、外瘻)、膿瘍形成、大量出血、大腸、直腸癌などがある。 B
腸管外合併症としては、関節症状、皮膚病変(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)、眼病変(虹彩炎、上強膜炎)原発性硬化性胆管炎などがある。 C1
小児に合併しやすいものとして、成長障害、骨粗鬆症、血管炎などがある。 C1

医療面接と身体診察

若年者で慢性の腹痛、下痢が続く場合にクローン病を念頭に置く。体重減少や発熱を伴うばあい可能性が高い。 C1
身体所見として特有の肛門病変や虫垂炎類似の症状、所見、腸閉塞、下血がある場合は強くクローン病を疑う。 C1
クローン病は若年者に多く発症するが、高齢者でもまれではないので注意する。 C1

 

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