脳梗塞

2010-06-16

 脳の血管が閉塞することで血液の流れが悪くなり、脳の機能障害、組織の壊死(梗塞)が起こります。早期に血液の流れが再開できれば脳梗塞の症状は改善します。脳梗塞は脳動脈のアテローム硬化による「アテローム血栓性梗塞」、細い動脈病変による「ラクナ梗塞」、心疾患(心房細動)が原因の「心原性脳塞栓症」分けられます。血栓の進展や再発による症候が良くなったり、悪くなったりします。心原性脳塞栓症は、脳が腫れたり、さまざまな合併症(心不全、消化管出血、肺炎など)が起こる可能性が高く重症です。

診断

 手足の力が片方入らない、言葉がもつれる(呂律障害)、むせる、物が飲み込みにくい(嚥下障害)、歩くときに片方に寄ってしまう、目の焦点が合わない。
などの症状が急激におこったのであれば脳梗塞、脳出血などが疑われます。
頭部CT、MRI検査(拡散強調画像は新鮮梗塞巣の検出感度が高い)MRAなどの検査が必要です。

治療方針

高張グリセロール、ウロキナーゼ、アルガトロバン 、オザグレルナトリウム(カタクロット)、エダラボン(ラジカット)により治療
発症3時間以内の組織プラスミノーゲン・アクチベーター(t-PA)静注による血栓溶解療法
発症48時間以内のアスピリン 経口投与

t-PA静注療法

発症3時間以内のアルテプラーゼ静注療法が脳梗塞では一番有効な治療法です。実際は発症時間が不明であったり、3時間以内の投与が不可能なことが多く、治療する患者は限定されます。血栓を溶かすことにより、血管の再開通促進を目的とし治療までの時間が短いほど効果がありますが、重篤な合併症(特に頭蓋内出血)や死亡リスクが高い薬のため専門の医療施設での加療が必要。出血対策のため投与後36時間以内は厳重な管理が必要です。

一般的治療

 計画性をもって急性期治療からリハビリテーションを行う治療は、死亡率減少、在院期間短縮、自宅退院率増加、長期的ADL、QOL改善に有効です
 急性期降圧は脳虚血の悪化、症候増悪や再発の原因となりえます。逆に臥床期間が長くなると、種々の合併症、廃用症候群の原因となります。早期の診断・病態把握、一定基準(クリティカル・パス)に沿った早期離床、リハビリが重要です。

病型別に急性期の治療が必要

1.ラクナ梗塞 (細い血管がつまった時)
補液による脱水の治療、予防が重要。点滴としてトロンボキサンA2合成阻害薬(オザグレル) を用いることが多い。

 
2.アテローム血栓性梗塞 (ある程度大きな血管が動脈硬化で細くなりつまる場合)
症候が動揺,悪化しやすい。血小板の活性化や凝固能亢進が関与すると考えられており、少量ウロキナーゼ、オザグレルナトリウム、アスピリンの経口投与をすることが多い。

3.心原性脳塞栓症 (心臓の血栓が脳の血管に流れて詰まる場合)
出血性合併症のリスクが高く、梗塞巣が小さく出血所見に乏しければ、再発予防目的で低用量ヘパリンを投与します。

脳保護療法

 脳保護薬(エダラボン) は発症24時間以内の脳梗塞(病型を問わない)でよく使用されるが、肝機能障害、腎機能障害、血液障害などの副作用があります。

脳浮腫対策

 脳が腫れるのを防ぐためにグリセロールを使用します。

診察メモ

頭痛を主訴に来院する患者は多いが頭痛の主訴だけで脳梗塞は非常に稀です。強い頭痛の場合の脳の病気の場合はクモ膜下出血、脳出血を疑います。
左右半身の麻痺があれば脳血管障害の可能性が高い。
めまいやふらつきなどの症状が主訴の脳梗塞もあります。脳梗塞めまいの特徴は、急に回転性めまい、悪心嘔吐の症状と脳神経症状が合併することが多いです。(嚥下障害、呂律障害、焦点が合わない、温度感覚障害などを伴うことが多い。)

 

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